演奏後の達成感と舞台からの景色は宝物…!—管弦楽団—
63年前から、学生主体で美しいハーモニーを届け続けてきた東京都立大学管弦楽団。
部員で心を一つにしてハーモニーを創り上げる秘訣に迫るべく、現部長の加藤萌乃さんにお話を伺った。
長い歴史を持つ都立大唯一のオーケストラ
―まずは、管弦楽団での活動について教えてください。
管弦楽団は、1960年から続く、都立大唯一のオーケストラです。最近は70人前後で活動しています。毎年開催されるスプリングコンサート(5月)と定期演奏会(11月)を中心に、年間を通して様々なステージに向けて練習に励んでいます。
―1960年から続いているのですね…!今年は創部から63年目となりますが、長年大切にしていることはありますか?
都立大で唯一オーケストラをやっている団体ですし、コロナ禍以前は入学式で演奏する機会もあったので、都立大の顔という意識はみんな持っていると思います。
▲講堂での練習の様子
細かく分かれた役職で支え合う
―メインとなるスプリングコンサートと定期演奏会以外にも、アンサンブルや出張演奏など、年間を通して、発表の場も多いですよね。外部からトレーナーの方をお呼びしているほか、部員の中から学生指揮者を選出していることにも驚きました!
学生指揮者はかなり大変な役職です。高校で吹奏楽の経験がある人や、音楽に関する知識を持っている人が務めることが多いです。学生指揮者は「インスペクター」という役職名で、毎回の練習計画を作成する役割も担っています。他にも、3年生を中心にたくさんの役職があります。トレーナーの方と連絡を取る「マネージャー」や、オーケストラと指揮者の仲介役で全体をまとめる「コンサートマスター」などは、珍しい役職かもしれませんね。
―東京都立大学管弦楽団のWebサイトを拝見しましたが、本当にたくさんの役職がありますね。これだけ役職が細かく分かれていると、各役職の活動状況を把握してまとめるのが大変そうですが、いかがですか?
正直、とても大変です…(笑)各役職が独立してしまっている部分もありますし、自分のことで手一杯でなかなか他の役職の様子を把握できないこともあります。そのため、部員が集まる部室や普段の練習で積極的にコミュニケーションを取って、困っているときにサポートするよう心掛けています。
ー一人で仕事をするのも大変ですが、人に任せることにも、また違った大変さがありますよね。
▲学生指揮者による練習の様子
部員の気持ちを高める秘訣とは…
―私自身も、中高生のときに音楽関係の部活動で副部長を務めていたのですが、みんなで音楽を創り上げるときは、部員全員の気持ちを高めて一つにすることが必要だと感じています。その点について、部長として意識していることはありますか?
まずは自分が率先して行動するようにしています。大きな声で返事をしたり、きちんと挨拶をしたり、基本的なことであっても、率先してコミュニケーションを取ることを大事にしていますね。それから、高校生までの部活動とは違って、みんな学業やアルバイトなどと両立して管弦楽団の活動をしているので、それぞれの部員の気持ちを尊重することも大切にしています。その上で、せっかく活動するからには、達成感のある演奏を目指したいと思っています。
―確かに、大学の部活動だと、全員が集まってまとまった練習時間を確保することも難しいですよね。 そうすると、やはり自主練習が大切になりそうですね。
はい、先輩がマンツーマンで後輩に指導をする機会もよくあります。私自身も、昨年度のスプリングコンサートの前は、先輩とマンツーマンで練習したことが印象に残っています。私はクラリネットを担当しているのですが、演奏曲の冒頭部分にクラリネットの大事なパートがあり、ああでもないこうでもないと先輩と練習を重ねた時間は、とても楽しかったです!
▲クラリネット
オーケストラならではの達成感
―加藤さんは、クラリネットを担当しているとのことですが、もともと演奏の経験があったのでしょうか?
高校生のときに室内楽部に所属し、クラリネットを担当していました。クラリネットは木管楽器で、温かみのある丸くて柔らかい音が出るので気に入っています!また、オーケストラは1つのパートを担当する人数が少ないので責任も大きいですし、他の楽器の音を聴く力が求められると思います。
―たくさんの楽器で構成されるからこそ、やはりオーケストラは聴き応えがありますよね!
そうですね、本番を終えた後はいつも部員の結束感が強まったように感じて、管弦楽団に入ってよかったなと思います。日常で拍手をもらえたり、一つの目標に向かってみんなで努力したりすることは、なかなかないですよね。だから、舞台に立ってたくさんのお客さんが見えるととても嬉しくなります。来年度のスプリングコンサートも全力で頑張ります!
―部員みんなで創り上げたハーモニーと、お客さんからの拍手は忘れられない宝物ですね…! ありがとうございました!
▲第61回定期演奏会
音楽を含む芸術の分野は、コロナ禍で不要不急とされることもあった。コロナ禍で様々な制限がある中での活動は難しい部分もあっただろう。しかし、音楽と向き合い、心を一つに演奏をする彼らは輝いている。そして、彼らが生み出した音に心を動かされた人もたくさんいることだろう。お客さんからの拍手をもらえるのは、きっと彼らの音が、そして思いが心に届いたからだ。多くの人の心に素敵な贈り物を届けてくれる彼らの活躍に今後も期待したい。
【取材・文:人文社会学部 人間社会学科 2年 綾桜子(学生広報チーム)】