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2024.01.05

日本初!プロジェクター模型マッピングを誰でも、いつでも、簡単に! 〜観光科学科川原研究室とメーカーとの共同開発で観光・教育活用へ〜

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11月4日、5日に八王子駅前の東京たま未来メッセにて、日本遺産フェスティバル in 桑都・八王子が開催され、都市環境学部観光科学科 川原晋教授の研究室が出展した様子を学生広報チームが取材しました。

日本遺産フェスティバルとは、文化庁から認定された全国104の日本遺産の推進団体が集結し、日本を代表する文化・伝統を語るストーリーの魅力を国内外へ、そして未来へ発信する場です。
今回は、都内で唯一日本遺産として認定されたストーリー「霊気満山 高尾山〜人々の祈りが紡ぐ桑都物語」の舞台である八王子市での開催であることから、八王子(=桑都)にちなんだ団体の出展もありました。


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▲各地の日本遺産の紹介ブースがずらり!当日は、会場が多くの人で賑わっていました!

その中の一つとして出展したのが、都市環境学部観光科学科 川原晋教授の研究室です!川原研究室 、株式会社ウェザーコック及び八王子市が連携して研究をした成果として、高精度型プロジェクター模型マッピングシステムを用いた、観光や教育現場での日本初!の活用方法を紹介するものでした。


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▲展示ブースの様子

▶︎プロジェクター模型マッピングシステムとは?
プロジェクター模型マッピングシステム(P+MMシステム)とは、無地の立体地形模型にプロジェクターで地図情報や画像、動画などを投影するシステムのことです。近年、ジオパークの拠点施設や防災関連の展示施設で導入されています。特に、株式会社ウェザーコックのシステムは高精度で、凹凸のある立体に投影しても画像が歪まない補正が行われることや、分解してスーツケースに入れて持ち運びできることが特徴とのことでした。


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▲白色の立体地形模型上に歪むことなく投影されています!

▶︎観光・教育ツールとしての新たな活用
これまでその活用方法は、メーカーが作成したコンテンツを表示するのみで、一方的に地域情報や学術成果を解説する利用に留まっていました。そこで今回、新たな取り組みとして、川原研究室が、「教育現場での協議ツール」や「観光に関わる様々な人が表示コンテンツを作成できる情報発信ツール」としての活用を目指して、株式会社ウェザーコックや八王子市と連携して研究を進めました。


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▲都市環境学部 観光科学科の川原晋教授と学生の皆さん

▶︎ここがすごい!川原教授のおすすめポイント!
従来のシステムとは異なる革新的なポイントは、以下の3点です。
① 誰でも、用意された地図をもとにパワーポイントなどの汎用ソフトで作成したオリジナル地図画像データを本機に転送して、簡単に投影できる。
② 転送はタブレットやスマートフォンからWiFi経由で簡単!観光ガイドさんがいつでも持ち込んで利用できる。
③ 模型投影と背面ディスプレイやタッチパネル画像とが連動する独自コンテンツも作れる。そのプログラムも簡単!
これにより、誰でも、いつでも、どこでも、簡単に素早く、オリジナルの画像コンテンツを立体地形模型に投影することが可能になりました!


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▲iPadから地図データをWiFi転送して投影しています。さらに書き込んでいます。

▶︎どのように活用するのか?〜立体地形模型に投影するからこそわかること〜
① 授業での活用
観光科学科の専門教育科目「観光計画・デザイン演習」の課題として学生が取り組んだのが、都立大南大沢キャンパスを中心とした南大沢地域の地域資源と地形・地理とを重ねて地域の特性を読み解く、という演習です。緑道や公園、遺跡、防災の観点から作成した地図もあれば、小学校の校歌やマンション広告の観点で地図を作成する、という斬新な取り組みもありました。
私が最も興味深かったのが、「バス停間の高低差と、あると便利かもしれない路線図」の地図です。南大沢地域には多くのバス路線がありますが、バスの路線図を立体地形模型に投影してみると、高低差の激しい道であるにも関わらず通っていない部分が見つかったそうです。立体地形模型に投影したからこそ発見につながった、とのことでした!


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▲タッチパネルには学生作品が一覧表示されています。


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▲バス停間の高低差を色分け。赤い点線が、高低差が大きいところを結ぶバス路線の提案

② 地域の観光情報発信としての活用
日本遺産センター八王子博物館「はちはく」での展示コンテンツとして、川原教授と観光科学科の学生有志で制作したのが、「八王子産食材でつくるお酒とおつまみ」という八王子の食材・食品を核として、生産者や地域を紹介する観光コンテンツです。
八王子市の立体地形模型には水脈や土壌図など、その食材・食品を生産しやすい理由がわかるような地図が投影され、解説ディスプレイには、食材・食品の生産のきっかけや自慢したい点、生産過程や経営の苦労話と今後の目標、おすすめの食べ方とレシピなどが掲載されます。生産者へのインタビューも学生が実施したそうで、参加した学生からは「八王子で生産することへの強い思いを知った」「八王子の地形だからこそ生産できるのだとわかった」などと、地理的な特徴を視覚的に把握した上で生産者の声を聞くことで、理解と関心が深まったようでした。


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▲「八王子産食材でつくるお酒とおつまみ」をテーマとした展示
背面ディスプレイ、模型投影、タッチパネル(手前)の表示が連動します。

▶︎観光客の興味関心に合わせたガイドも可能!今後の展望
どこへでも持ち運び、誰でも簡単に利用できることに加え、タッチパネル上の地図に書き込んだ情報を投影模型に瞬時に反映させることも可能であるため、今後は活用場所を広げ、観光ガイドが気軽に利用できるようにしたいと考えているそうです。訪れた観光客の興味関心やその日のおすすめなどに合わせて投影する地図を変えたり、その場で地図に書き込みを加えたりすることによって、その地域の魅力を効果的に伝えることができます。


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▲川原教授が、学生広報チームのためにオリジナルで作成した投影地図に書き込みながら
南大沢地域のおすすめスポットを紹介してくださいました!通勤途中で作成したとのこと!

今後は展示施設だけではなく身近な場所でも目にすることが多くなるかもしれません!
多岐にわたる更なる活用に期待したいです!
実際に操作しているところを体験しないと面白さがわかりづらいので、川原研究室作成の動画を、ぜひ見てみてください!


関連リンク

プロジェクターマッピング模型システムの紹介動画@日本遺産フェス
https://youtu.be/b7amgZUip58
川原研究室(観光まちづくり研)研究紹介ページ
https://ssm.fpark.tmu.ac.jp/study/theme/Tourism-Applications-of-Technology.html
桑都日本遺産センター 八王子博物館「はちはく」@日本遺産ポータルサイト
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/news/2966/


【取材・文:人文社会学部 人間社会学科 綾桜子(学生広報チーム)】

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