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2022.03.25
※2022年3月以前に都立大HP「People都立大人」に掲載された記事のアーカイブ記事です。

さはらかん―繋げ!空き缶から宇宙へ―

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【2021年2月2日掲載記事】
ー2020課外活動団体紹介⑩(さはらかん)ー
Can Sat製作に尽力する団体“さはらかん”。
彼らの活動とその魅力について、代表の吉田健人さんへのインタビューを通して迫る。(2020年12月取材)

キービジュアル
さはらかんが製作したCan Sat

―団体名“さはらかん”とは、どういう意味ですか?

さはらかんは、システムデザイン学部にある宇宙システム研究室の佐原先生を中心に、人工衛星などのシステム全般の研究ができる団体をつくる、という目的のもと発足したサークルです。佐原先生の“さはら”と、我々で製作している超小型人工衛星の名称「Can Sat」の“Can”を取って“さはらかん”という名前になっています。

―さはらかんの特徴と、例年の年間スケジュールを教えてください。

さはらかんは、1年生と2年生が中心に活動している団体です。通常のモノづくり系のサークルだと縦割りが多いかもしれませんが、私たちの団体は横割りで活動しているのが特徴です。学年ごとでプロジェクトを決められるので、1年生から本格的にプロジェクトを始められます。
例年の流れですが、1年生として最初に参加できるイベントとして、夏に秋田県の能代市で行われる「能代宇宙イベント」があります。でも、1年生はまだ技術的な面で参加することが難しいため、この時期は大会には参加せず、モノづくりの知識を蓄えるという人が多いです。そして、2年生になる前の3月に鹿児島の種子島で「種子島ロケットコンテスト」が行われるので、そこで初めて自分たちの製作したCan Sat を出すというパターンが一番多いかもしれません。この大会に出場してフィードバックを得ることで、次の年の活動に活かすことになります。2年生になると、9月にアメリカで行われる 「ARLISS※」というCan Satの大会を目指して頑張っていくという感じです。
※ARLISS…Can Satの世界大会に位置づけられる大会。

―Can Satとはどういうものですか?

衛星開発技術の教育を目的に作られた超小型疑似人工衛星のことです。2000年頃にアメリカで、コカ・コーラの空き缶サイズの人工衛星を作ればいいんじゃないか、という冗談をきっかけに作られるようになったらしく、「空き缶サイズの人工衛星」という意味合いからCan Satと呼ばれています。

―大会ではどのような競技が行われていますか?

ロケットで上空に打ち上げ、パラシュートで着地させた後、あらかじめ書き込まれたプログラミングのもと、指定された目標・ゴールに向かってCan Satを自立的に走行させる「ランバック」という競技が行われています。他にも独自のミッションを考えてそのミッションをどのくらい達成できたのかが評価されるパターンの競技もあります。大会ごとに規模は異なりますが、アメリカのARLISSという大会は、3000m~4000mの高さまで打ち上げることができる、かなり本格的なものになっています。ちなみに漫画『宇宙兄弟』に出てくるCan Satを作るシーンのモデルにもなった大会なんです。

―コロナの状況下では今年度どのような活動が出来ましたか。

私たちの団体では、先ほど挙げたように毎年様々なCan Satの大会に参加しているのですが、コロナ禍の状況で大会は中止になり、製作も全くと言っていいほどできませんでした。しかし、そのような状況下でZOOMを用いた新歓活動やオンラインでのプログラミング教室の開催などを行った結果、6人の新入生を迎えることができました。現在では新入生を中心としたプロジェクトを立ち上げ、来年の大会に向けたCan Satづくりを始めています。

―今年度の活動を受けて、今後の抱負を教えてください。

10月から、一部ではありますが対面での活動が再開しました。実際にモノに触れながら設計・製作できるようになるので、新入生には色々なものを吸収して素晴らしいCan Satを作っていってほしいです。まだまだ制約のある中での活動にはなりますが、次の大会に向けて準備を進めています。

ー新入生に向けてメッセージをお願いします!

私たちは他のモノづくりサークルと違い、横割りでの活動が主になってきます。入部するとすぐに自分たち主導でプロジェクトを進めることができるのが魅力です。もちろん上級生によるサポートも受けることができるので安心してください。また、航空宇宙システム研究室の技術支援を受けることもできるので、学部の早い段階から研究室の雰囲気を味わえるのも魅力の一つです。航空宇宙システム工学科の学生で宇宙工学に興味がある人はぜひ参加してください!

※コロナウイルス感染拡大に伴い、紹介されている活動の内容等は変更となっている場合があります。
【取材・文:人文社会学部人文学科 大島美桜(学生広報チーム)】

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