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2022.03.25
※2022年3月以前に都立大HP「People都立大人」に掲載された記事のアーカイブ記事です。

Tokyoふしぎ祭(サイ)エンス2019

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【2019年5月15日掲載記事】
こんにちは。首都大学東京学生広報チームの宮崎です。4月13日、14日に日本科学未来館にて行われた「Tokyoふしぎ祭エンス」に行ってきました。本学からは、4つのブースが出展されており、今回私は3つの研究室のブースにお邪魔しました。

キービジュアル
実験に夢中な小さな科学者
一つ目は、水口研究室(理学部物理学科)のブース

テーマは「ちょうでんどう実験室:超伝導と磁石の不思議な性質」です。行程としては、まず初めにポスターを用いて電磁誘導と超伝導について説明された後、子どもたちが実際に自分で電磁誘導と超伝導の実験をして、理解するというものです。
電磁誘導の実験では、絶縁体の筒とコイルを巻いた金属の筒、それぞれに同じように磁石を上から落としているはずなのに、それぞれ落ちる速さが違うという実験を行いました。子どもたちが「なんで?」という疑問を持つと、近くにいる大学生、大学院生がやさしく教えていました。
超伝導の実験では、超伝導は温度が低くなると電気抵抗が0になるという特性を利用して、磁石でできたコースターの上に超伝導体の板を走らせるという実験を行いました。このジェットコースターはコースが1回転する難所があり、やってみた子どもたちは苦戦していました。その中で、ゴールまで超伝導体を無事たどり着かせることができた子どもたちは、とてもうれしそうでした。またゴールするたびに周りから拍手が生まれていて、「暖かいな」と感じました。
ジェットコースターをクリアするコツをお聞きすると、超伝導体をスタート部分にセットする際、超伝導体を軽く押すとうまくいきやすいと教えていただきました。このコツを聞いた後、私もやらせていただくと2回目でクリアすることができました。大学院生の方から「センスがあるね」とお褒めの言葉を頂きました。
電磁誘導と超伝導という難しい言葉でも子どもたちが気軽に楽しめるアトラクションになっていて感動しました。このまま子どもたちには理科への興味を深めていってもらいたいと思います。

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▲ ジェットコースターを楽しむ子どもたち

二つ目は武居研究室(システムデザイン学部機械システム工学科)のブース

テーマは「ぶるぶるロボットで何する?」というもので、ロボットを製作することができます。そして自分が作ったロボットは持ち帰ることができます。
まず、子どもたちには材料と工具が配布されます。そして材料と工具が全部そろっているか大学生、大学院生と一緒に確認することから始まります。基本的には大学生、大学院生に教えてもらいながら子どもたちは作業します。そのため大学生、大学院生は大勢いて、子どもたちは自分のペースで作業を進めることができます。
材料と工具がすべてそろっていることを確認した後、子どもたちはいざ組み立てを始めます。しかし、扱いなれない工具ややったこともない作業に子どもたちは苦戦します。それでも時間をかけ、大学生、大学院生の方にサポートしてもらうことで、子どもたちはだんだん工具の扱いにも慣れ、作業が早くなっていました。ちょうど同時刻に横のイベントステージでショーが行われていたのですが子どもたちはみんな集中していて、目もくれず作業に没頭していくのを見て、私はなんだかうれしくなりました。
そして、45分ほどかけてついにロボットが完成しました。しかし子どもたちは完成して喜ぶのもつかの間、すぐにロボットの調整に移りました。このロボットはモーターがついていて、足部分であるクリップがモーターによって回転して前進することができます。そしてこのクリップの角度や形を変えることで動きは変わっていきます。子どもたちはこのクリップの調整に真剣で、その姿はまさにエンジニアそのものでした。 武居先生にお話を伺うと、家に帰っても調整できるように専門のパーツを使うのではなく、壊れても家で簡単に代用できるクリップを採用することにしたと仰っていました。
終了時間になってもクリップの調整を続ける子どもがいて、その集中力に驚きました。子どもたちの未知なる力を引き出す素晴らしいブースでした。

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▲ ロボットの組み立て作業に取り掛かる様子

三つ目はTMU-SFC(学生による化学実験サークル)さんのブース

テーマは「出張!化学実験室in日本科学未来館」です。こちらのブースではカレー粉を使った演示実験とスライム、入浴剤の作成と二つの実験を体験できます。安全への配慮が手厚く、子ども用の白衣・安全眼鏡・手袋を子どもたちに着用してもらうため、保護者も安心して見守ることができるようになっていました。
まずは、カレー粉を使った実験の実演です。カレー粉にはカレーを黄色くするためにターメリックが含まれています。このターメリックに含まれている色素は溶液がアルカリ性になると黄色から赤色へと色が変わるという性質があります。この性質を利用して色の変化を観察する実験を行っていました。酸性、中性、アルカリ性というわかりづらい概念を色の変化という目で見てわかるもので説明していて、私も大変勉強になりました。
次は入浴剤、スライムの作成についてです。実験で必要な材料は紙コップにそれぞれ分けられ、失敗してケガすることないように、ここでも安全への配慮が感じられました。司会の学生の合図とともに子どもたちは材料をかき混ぜます。入浴剤では香料、スライムでは色を自分で選ぶことができ、子どもたちは思い思いの香りや色を選んでいました。スライムが完成すると、電気を消します。すると暗闇の中色とりどりにスライムが発光していて、とてもきれいでした。
こちらのブースでは実験ノートというものを一人に一部ずつ配布していていました。子どもたちにただ「実験をやった」で終わらせるのではなく、自分で実験ノートに実験の記録を記入して、「レポートを作った」まで学ばせていました。楽しく実験を行いながら、理科を身近に感じてもらうような工夫が強く感じられました。

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▲ 完成した発光するスライム

金崎研究室(システムデザイン学部航空宇宙システム工学科)のブース

首都大学東京の広報係が、金崎研究室(システムデザイン学部航空宇宙システム工学科)のブースにお邪魔しました。テーマは「ハイテクエンジニア体験!ペーパープレーンを作ろう!」です。最初に学生から子どもたちに火星探査機と飛行機の構造の違いをクイズ形式で説明し、その後ぺーパープレーンを作成しました。子どもたちははさみやのりを使って一生懸命作成していました。作成中、火星の話や宇宙の話を学生に質問し、丁寧に答える学生の姿がとても印象的でした。
子どもたちが完成したペーパープレーンを飛ばす際、重心を安定させるためクリップを使用して調整するのがとても難しく、学生にアドバイスをもらいながら何度も試し、まっすぐ長く飛んだときはとても喜んでいました。子どもたちが成功するために、学生の力を借りながら試行錯誤を重ねることができる素敵な体験でした。

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▲ 指定された形に切るのも難しそう(写真左) 完成したペーパープレーンを穴にめがけて!(写真右)

【取材・文:システムデザイン学部 宮崎敦広(学生広報チーム)】

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