荒川キャンパス 健康福祉学部 放射線学科 シミュレータ操作室・高エネルギー操作室編
普段、あまり見る機会のない大学構内の施設で、「これはどう使われているの?」という素朴な疑問を解き明かします。今回は荒川キャンパスに注目。健康福祉学部放射線学科の「放射線治療技術学実習」などで使用されているシミュレータ操作室・高エネルギー操作室を探検しました。


健康福祉学部 放射線学科 明上山 温 准教授
室蘭工業大学工学部電気電子工学科卒業後、北海道大学大学院工学研究科電子情報工学専攻博士課程修了。博士(工学)。東京都立保健科学大学助手、首都大学東京(現東京都立大学)健康福祉学部助教を経て、2012年より准教授。専門は放射線治療技術学、医用画像情報学、計算機科学。
Q.放射線学科ではどのようなことを学べますか?
放射線学科での学びは、大きく診断部門、核医学部門、放射線治療部門の3部門に分かれます。診断部門ではMRIやCTなどの機器を使った診断方法を学び、核医学部門では放射性物質を体内に入れて画像化したものを診断にどのように役立てるかを学びます。放射線治療部門では治療計画を立てた上で、臨床現場と同じ治療プロセスを学ぶことができます。そして、医療機関で実際に使用されている装置に触れながら学びを深められる環境であることが本学科の強みです。
Q.シミュレータ操作室・高エネルギー操作室はどのように使用されているのでしょうか?
シミュレータ操作室には、治療計画を立てるためのX線CTがあり、高エネルギー操作室には、「リニアック」という最先端の放射線治療装置があります。3年次の後期科目である「放射線治療技術学実習」では、これらの装置をフル活用しながら、診療放射線技師としての実践力を磨きます。学生は4年次の「臨床実習」に大いに役立てられるほか、大学院生は研究用途でこれらの機器を使うことができます。

Q.では、これらの部屋で行われる「放射線治療技術学実習」の流れを教えてください。
まず、放射線治療技術学は総合学問のため、前提として放射線物理学や放射線化学への十分な理解、また放射線の人体への影響に関する放射線生物学の知識が必要です。その上で、3年次前期の放射線治療に関する授業を経て、後期の「放射線治療技術学実習」がスタート。人体を模したファントムと呼ばれる模型を患者さんに見立て、腫瘍にX線を照射する治療の流れを学びます。例えば胸部ファントムの場合、腫瘍のサンプルを体内に埋め込み、まずは「治療計画CT」で撮像。腫瘍が撮れていることを確認したら、高エネルギー操作室の「治療計画装置(PC)」に画像データを転送し、詳細な治療計画を立てた上で「リニアック」の操作に移行します。
診療放射線技師に必要な実践力を磨く「放射線治療技術学実習」

シミュレータ操作室にある治療計画CTを使い、治療時の体勢と基準位置を決めて撮像。腫瘍付近の3次元データを作成します。リニアックでも同じ体勢になる必要があるため、1ミリ以下の精度で位置合わせを行います。

体勢を決めるには固定具が必須。学生は実際の固定作業も経験します。この実習で使用するのは、内部に大量の発泡ビーズが入った固定具。空気を抜くと固まるため、治療計画CTで決めた体勢をリニアックで再現できます。

治療計画CTで得たデータを基に、腫瘍の位置や大きさに応じて「どこにどの角度からどの程度の放射線を何回照射するか」をプランニング。そのための頭脳となるのが、放射線物理学を駆使した治療計画装置(PC)のソフトウェアです。

腫瘍以外の部分に放射線を照射すると健康被害をもたらすことから、高精度な放射線治療になればなるほど、時間をかけて計画を検証する必要があります。導き出されたプランを基にリニアックで放射線治療を行います。

生身の患者さんは呼吸をしているので、照射中は多少の動きが生じます。治療計画では最も大きく息を吸った状態と、息を吐き切った状態との間で腫瘍の位置が動くと想定し、その範囲内で照射位置を確定させます。

治療計画CTで決めた基準位置に合わせて患者さん(ファントム)を寝かせた後、コンビームCTで得た3次元データと治療計画のデータを照合。位置のずれを補正してから、放射線照射を行います。
最後に、学生の皆さんにメッセージをお願いします!

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健康福祉学部放射線学科 准教授 明上山 温(みょうじょうやま あつし)