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2024.11.29
都立大キャンパスサポーターズ Vol.3

理工横断型GPアシスタント

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「キャンパスサポーターズ」は、学業と並行して大学運営や授業支援などにも従事している精力的な学生を紹介する企画。今回は「理工横断型GPアシスタント」(数電機GPアシスタント)として、「理工数学相談室」と「マスクリニック」を運営している理学研究科の大学院生2名と、担当教員の横山俊一准教授にお話をお聞きしました。

キービジュアル
国際学生宿舎 レジデント・アシスタント
田中 一希さん
田中 一希さん

理学部 数理科学科 2021年度卒業
理学研究科 数理科学専攻
博士前期課程 2023年度修了
理学研究科 数理科学専攻 博士後期課程1年
東京都立小金井北高等学校出身

高倉 真和さん
高倉 真和さん

理学部 数理科学科 2022年度卒業
理学研究科 数理科学専攻 博士前期課程2年
大分県立大分雄城台高等学校出身

横山 俊一 准教授
横山 俊一 准教授

理学部 数理科学科/
理学研究科 数理科学専攻

「理工数学相談室」と「マスクリニック」を学生主体で運営

「GPアシスタント」の概要からお聞かせください。

横山先生
横山先生
本事業の正式名称は、理学研究科教育改革推進事業「数理科学を基盤とした理工横断型人材育成システム」といいます。2009年に前身のプロジェクトがスタートし、現在の主な活動は、大学院生が学部生に数学を教えることです。例年10名程度の大学院生がGPアシスタントとなり、任期は半年間。具体的には「理工数学相談室」と「マスクリニック」を学生主体で運営し、原則として対面で学部生向けにアドバイスを行う取り組みです。GPアシスタントは毎日数名が交替で対応し、数学で悩む学部生にとっての駆け込み寺になっています。

田中さんと高倉さんはなぜこの活動に参加したのですか。

高倉さん
高倉さん
学部時代は自力で数学を勉強していたのですが、高校までとは違った大学における数学の難しさを痛感することが多々ありました。加えて、学部2年次以降はコロナ禍の影響で気軽に相談できる環境もなかったので、自分と同じように奮闘する学生の役に立てないかと考えて、2023年4月からGPアシスタントの活動に参加しています。
田中さん
田中さん
私も2023年4月から参加しています。私の場合は、学部生の頃に経験した学習塾でのアルバイトがきっかけになりました。授業は担当しないものの、チューターとして高校生の質問に答える機会があってやりがいを感じていましたし、大学で同じような活動ができる場がないか探していてGPアシスタントを見つけました。

「数学」を切り口にして、様々な相談内容に対応

学部生からはどのような相談が多いですか?

田中さん
田中さん
学生のニーズは幅広いです。例えば学部1年次の学生が微分積分や線形代数といった授業での不明点を解消するために利用しているほか、独学で難易度の高い数学に挑む学部生が、解答に必要な考え方やヒントを求めて利用することもあります。内容に応じて、解法などを教えることもあれば、「一緒に考えてみよう」というスタンスで臨むケースもあります。基本的には、GPアシスタントであれば誰でも学部生向けの解法は指導できますが、より専門性の高い相談の場合は、個々のGPアシスタントの得意分野からその相談内容により対応できる人を検討し、その人が担当する曜日を教えるなどの案内もしています。また、理系の学生以外でも、数学を頻繁に使う経済経営学部の学生や、「数理・データサイエンス副専攻コース」を履修している学生も相談に来ることが多いです。「理工数学相談室」と「マスクリニック」は運営時間が決まっていますので、毎週来てくれる学生もいるほどです。
高倉さん
高倉さん
問題を解くためだけの利用ではなく、おすすめの参考書や勉強方法をアドバイスしたり、それぞれの研究室でどのような研究を行っているかを聞かれて話したりすることも少なくありません。数理学科の学部生の場合、4年次になる際に研究室に配属されるので、それ以前は、大学院でどのような研究がされているか見えにくいのです。学部の段階から大学院進学後を意識して勉強する方が良いと思いますし、私たちGPアシスタントがその架け橋のような立ち位置でアドバイスできればと思っています。
横山先生
横山先生
なお、2023年度は前期が238人、後期は106人の利用がありました。傾向として見られるのは、入学後に数学に不安を抱える学部1年次の学生の利用が多いことです。数学の指導をきっかけに先輩と交流できる機会にもなっていますので、勉強方法や進路の相談の場としても活用してほしいと思っています。

学部生の成長を支える活動を通して、大学院生も成長していく

活動を通して、ご自身には何か変化はありましたか?

田中さん
田中さん
教える立場になると全体像を俯瞰した上で説明することが多く、その過程で私にとっても新たな気付きが得られ、さらに理解が深まることがあります。また、数学を専門的に勉強している身としては、学部生が向上心をもって数学に取り組んでいること自体が単純にうれしいです。不明点が解消できて喜んでくれれば、教える側の私もうれしいので、引き続き数学力を高めようとする学生のモチベーションを維持・向上させるために力を尽くしていきたいと思っています。
高倉さん
高倉さん
数学に挑む学部生と接していると自分のモチベーションも上がります。教えるにあたって学部生には「自分の力で解決できた」という経験を重ねていってほしいと考えていますので、相手の理解度を見極めながらその場で類題を作問し、少しずつ解きたい問題のレベルに近づけていくように心がけています。ほかのGPアシスタントも学部生に寄り添えるメンバーばかりです。悩みに共感した上で、親身に指導していきますので、ぜひ気軽に相談してほしいと思っています。
横山先生
横山先生
GPアシスタントの活動では、どのような学生が来るのか、どのような相談内容なのかがわからない状況での対応力が磨かれていくなど、大学院生自身の成長にもつながっています。学部生と大学院生の双方のスキルアップに寄与する取り組みとして、今後も多くの学生に利用してもらいたいですね。

理工横断型GPアシスタント

https://www.se.tmu.ac.jp/mis/mem.html

数学に不安を抱える学部生にとっての駆け込み寺

「理工数学相談室」は毎週月・火・水・金曜の5限に1号館や図書館本館で実施され、「マスクリニック」は毎週木曜の4・5限に8号館6階で実施。各曜日2名~4名の大学院生がGPアシスタントとして指導・アドバイスを行います(詳細は上記URLを参照)。主に学部生を対象に、原則として対面で数学の質問に回答しているほか、希望する人数に応じて「期末試験対策講座」を実施することもあります。

GPアシスタントメンバー
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