東京都立大公式WEBマガジン
2024.09.13
シリーズ 卒業生は今…! Vol.8

中島 寛髙さん(立川市役所)

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本学を卒業し、社会で活躍する先輩の皆さんにお話を伺うシリーズ企画「卒業生は今…!」。在学時代の学びや学生生活、大学での経験と今のご自身とのつながりなどを紹介します。

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中島 寛髙さん

中島 寛髙(なかしま ひろたか)
首都大学東京都市教養学部都市教養学科経営学系経営学コース(当時)卒業後、旅行代理店勤務を経て、立川市役所に転職。防災課防災推進係として、立川市の公式LINEアカウントを活用した「LINEでつながる避難訓練」プロジェクトの立ち上げから関わり、話題に。現在は青梅市役所シティプロモーション課に出向中。

好きなことに何でもチャレンジした大学時代。
多様な価値観や考えに触れ、世界が広がった。

高校時代はどんな学生でしたか。都立大に進学しようと思った理由は?

 中学・高校時代は5歳から始めた空手と入部した柔道に熱中していました。愛知県にある大成中学・高等学校(愛知真和学園)に進学したのですが、スポーツが盛んで、柔道ではオリンピック選手を輩出するような学校でしたから、私も仲間と切磋琢磨して過ごしました。当時から英語も好きだったので、中学3年生の時にニュージーランドへ1ヶ月語学留学をしました。中学・高校時代に空手や柔道、英語に熱中したことは、現在の自信につながっていますし、仕事を続けていく上でも自分の武器になりました。
 私が都立大に入学したいと思ったのは、専門分野はもちろん、幅広く教養を身に付けられる都市教養学部に魅力を感じたからです。東京で過ごすことで刺激を受け、見識を広げたいという気持ちもありました。

都立大では、どんな学生生活を送りましたか?

 都立大は自由な校風で、のびのびと学生生活を送りました。専攻の経営学だけでなく、様々な専門分野の先生方から学べる楽しさがあって、初めて知ることが多く刺激的でした。
 サークルはESS(英語研究会)と空手道部に所属し、空手においては大学外の道場(極真会館東京城西国分寺支部南大沢道場)で練習し、子どもたちへの指導も行っていました。空き時間にアルバイトをしていたので、当時は寝ることに時間を割けなかったのですが、とても充実していたと記憶しています。
 最も思い出深いのは学生寮での生活です。先輩方、学部生たちが一緒に生活していて、大きな共同浴場に皆で入浴したり、一緒に夕食をつくって食べたりと、良い思い出が多く残っています。育った環境や価値観が違う人たちと多くの時間を共有できたことは、大学の学生寮ならではの貴重な経験でした。
社会人になると、組織の中で思うようにいかないことや自分の考えがうまく伝わらないこともありますが、寮生活で培ったコミュニケーション力が自分を支えてくれていると思います。

旅行代理店に就職後、立川市役所に転職されたそうですが?

 大学卒業後は、旅行代理店に5年ほど勤めました。営業から事務、添乗員まで、あらゆる業務をこなしました。全力でお客様と向き合える仕事はとてもやりがいがありましたが、社会的な出来事などで業界全体が影響を受けることも多々あり、違ったアプローチで社会の役に立ちたいと、立川市役所に転職しました。

前例がなくても積極的にチャレンジ
成功に導いた新しい避難訓練のカタチ

中島 寛髙さん

立川市役所でLINEを活用した避難訓練プロジェクトを担当されたとのことですが、その経緯を教えてください。

 立川市役所に転職して2年後の2019年に台風19号が来襲し、市内の避難所運営にあたりました。被害が甚大な千葉県に災害支援で派遣された経験もあり、災害への備えや災害対応の必要性、大変さを身に染みて実感しました。
 帰任した翌年に、防災課に配属されましたが、配属後すぐに新型コロナウイルス感染症が蔓延し、通常業務どころではなくなりました。コロナ収束後も以前のような状況は取り戻せず、市内の防災訓練の参加者数も鈍化してしまいました。なんとか市民の防災意識を高められないかと考える中で、立川市のLINE公式アカウントを活用する方法にたどり着きました。
 プロジェクト始動時は、不慣れでうまくいかない部分もありましたが、他の自治体での成功事例を立川市に当てはめて、少しずつ課題を解決しながら進めていきました。すると、役所内の理解も徐々に広がり、部署の壁を越えて広報担当者を巻き込み一気に進められることとなり、2023年7月に「LINEでつながる避難訓練」を運用開始しました。
 この訓練はLINE上でできるので、自宅や職場などのあらゆる場所から、いつでも避難訓練を行うことが可能です。『地震編』と『風水害編』があり、どちらもゲーム感覚で行うことができます。職員が市民に防災について説明する出前講座や市内の防災訓練を通じて、より多くの市民の方にこの取り組みを知ってもらいたいです。
 スマートフォンが1台あれば、おじいちゃんおばあちゃんからお孫さんまで家族みんなで挑戦できるのも大きな特長で、全世代的に防災意識を高められたと思います。「LINEでつながる避難訓練」を通じて、防災についてみんなで考え、話し合うきっかけづくりになったと思います。

「LINEでつながる避難訓練」の画面
「LINEでつながる避難訓練」の画面

今後、取り組みたいことや将来の展望はありますか?

 現在は、青梅市役所シティプロモーション課に出向しています。前職である旅行代理店勤務時代の経験も活かしながら、市の公式インスタグラム(@omeblue.tokyo)にほぼ毎日投稿するなど、少しでも多くの方に青梅市の魅力を伝えたいと奮闘しています。
 地方自治体では、部署異動になると業務内容が大きく異なることも多いのですが、常に「市民の役に立つ」という意識を持って、問題解決に取り組んでいきたいです。初めてのことに課題は付き物です。主体的に取り組み、必死で食らいついていけばなんとかなる。若いうちは恐れずにチャレンジして失敗を繰り返すことも必要だと思っています。失敗することも経験です。何度も失敗したとしてもチャレンジすることで、必ず次のステップでの財産になると信じています。

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