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2023.04.14
シリーズ 卒業生は今…! Vol.6

田村 健太郎さん(俳優)

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本学を卒業し、社会で活躍する先輩の皆さんにお話をうかがうシリーズ企画「卒業生は今…!」。在学時代の学びや学生生活、大学での経験と今のお仕事とのつながりなどを紹介します。

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田村 健太郎さん

田村 健太郎(たむら けんたろう)
首都大学東京 都市教養学部 都市教養学科 経営学系(当時)卒業。在学中から演劇活動を開始し、19歳で初舞台に。近年では、「ボイス110緊急指令室」シーズン1・2、NHK朝ドラ「なつぞら」、NHK大河ドラマ「青天を衝け」、「どうする家康」、映画「すばらしき世界」他、多くの映像作品や舞台で活躍中。吉住モータース所属。

大学時代に一人でじっくり考え抜いた時間が、俳優としての自分の財産になった。

学生時代にはどんな学生生活を送っていましたか?

入学して最初のオリエンテーションで友人ができて、1年次は仲間でわいわいと、いわゆる大学生らしい生活を送っていました。
全学共通科目のサブカルチャーに関する宮台先生の授業が面白くて、熱心に授業に出ていました。テストが「自分でテーマを決めてレポートを書く」というシンプルなものだったのですが、熱をもって書くことが大事だと先生から教わり、自分なりに思いを込め熱心に書いた結果、高評価をいただいたことを覚えています。ゼミは経営学の中でも社会学的なテーマを扱う若森先生(2013年度退職)のゼミに所属し、ジョン・スチュアート・ミル著の「自由論」を読んだりしていました。
サークルは友人と一緒に英語研究会のESSに入りました。このとき英語でのディスカッションを経験できて、英語に対する苦手意識がなくなったように思います。先輩も優しくて居心地が良かったです。最近は、仕事関係で外国人の演出家と英語でのやりとりが必要になることもあるので、ESSでの活動はとても役立っていますね。

在学中に演劇デビューされたそうですが、その経緯は?

高校生の時から演劇が好きだったので、大学入学後もよく演劇や映画を一人で観に行っていました。そのうち他大学にいる友人が劇団を作ると声をかけてくれて、一緒に始めたのですが、気付けばそちらの活動が生活の中心になっていました。最初は50人程度の小さな劇場に出ていましたが、演劇仲間や知り合いから声をかけてもらって、他の劇団の舞台や映画、テレビの仕事にも少しずつ関わるようになりました。
大学の2年次からはさらに演劇中心の生活になってしまい、大学に行くために時間をやりくりする状態だったので、友人とは時間があわなくなって一人でいることが多かったです。ちょっと困ったのは、単独行動のせいで友人たちから授業やテストに関する情報が入りづらくなってしまったこと。卒業単位がちゃんと取れるか不安で、必要な単位はできるだけ早く取ろうと計画を立てました。3年次までに必須単位のほとんどは履修して、4年次はゼミと少しの単位を残すのみに。当時は1年毎の単位の履修制限がなかったので、その点では助かりました。

大学時代の経験で仕事に役立っていることは何ですか?

演劇と学業の両立で時間が作れない中でも、空いた時間に舞台や映画を興味のままに観ることができたのは、非常に貴重で大切な時間でした。一人の時間は寂しいときもありますが、好きな演劇や映画、本についてじっくり考えたり、人のことを観察したりして、今の仕事を行う上で大きな財産になっていると思います。
また、大学のAVライブラリーには演劇関係のDVDが多くあり、自由に視聴することができたので、ここに何時間もこもっていました。ヘッドホンで集中して観られる環境でおすすめです。
残りの時間は、映画館で夜間のバイトをしていました。バイト代は全て演劇や映画鑑賞につぎ込んでいましたね。

今のお仕事で大変なこと、嬉しかったことは?

大学を卒業してそのまま劇団生活を続けていましたが、20代の時は俳優業だけでは生活できず、バイトのかけもちが大変でした。大きな転機は、NHK朝ドラ「なつぞら」と連続ドラマ「ボイス110緊急指令室」に出演できたこと。それ以降はバイトをせずに、芝居だけに集中できるようになりました。テレビの連続ドラマに出ると知名度も上がり、両親や親戚、友人たちが喜んでくれました。面白い作品に長く関われることは嬉しいですし、やりがいがあります。
この業界は、豊かな才能に恵まれてスカウトされ活躍される方がいる一方で、僕は自分で首を突っ込んで関わり続けてきたタイプ。大変なことはありますが、今もなお続けていられるのは幸運でもあるし、自分が頑張った部分はありますが、でもやはり一番は応援してくれる両親や周りの方々の存在が大きいです。

様々な国の監督や俳優、スタッフさんと情熱をもって作品に向き合ってみたい

田村 健太郎さん

今後の目標や夢は何ですか?

今は、多くの人に自分を知ってもらうために、多くの連続ドラマや映画に出続けたいと思っています。多くの人に知ってもらうことで、幅広い仕事をする機会も増えるからです。
最近では日本の俳優が海外の作品に出る機会が増えたので、僕もぜひ様々な国の監督さんやスタッフ、俳優さんと仕事をしてみたいです。特に韓国の映画やドラマが大好きでよく観ているので、韓国の作品にチャレンジしてみたいですね。韓国は芸能・エンタメ業界自体がすごく盛んですし、情熱量がすごい。ぜひ僕も勉強させてもらいたいです。

夢を掴むためにすべきこと、アドバイスをお願いします。

若い頃は周りの人や世の中の動きに左右されることもあると思います。でも、時には自分一人で考える時間や、行動する時間を作ってみてください。自分の将来や幸せについては、自分で考えることでしか答えは出せません。他人の意見に流されることなく、自分を見つめ直す時間が必要なのです。
自分の経験からお伝えすると、大学時代が想像していたような充実した学生生活にならなくても、不安に思わなくて大丈夫。社会に出てしまえば、その経験はほとんど関係ありません。僕は大学でそれほどアグレッシブな人間ではなかったけれど、自分で考える時間を大切にしたため、自分の本当に好きなことや頑張れること、頑張りたいことを見つけることができました。自分で決めたことに間違いはないし、自分で責任がもてる。ぜひ自信をもって将来へ進んでほしいと思います。

田村 健太郎 さん
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