2022.12.23
都立大キャンパスサポーターズ Vol.1
ダイバーシティ推進室 学生支援スタッフ
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「キャンパスサポーターズ」は、学業と並行して大学運営や授業支援などにも従事している精力的な学生を紹介する新企画。第1回目は、南大沢キャンパスのダイバーシティ推進室で障がいのある学生の支援などに携わっている2名の学生と、益子徹特任研究員にお話を聞きました。
益子 徹特任研究員
ダイバーシティ推進室
障がいのある構成員支援担当
宮崎 優子さん
システムデザイン学部 インダストリアルアート学科 2020年卒業
システムデザイン研究科 インダストリアルアート学域 博士前期課程2年
神奈川県立横浜緑ケ丘高等学校出身
鎌田 彩花さん
人文社会学部 人間社会学科1年
福島県立安積高等学校出身
誰かのためになるのなら、迷うことなく自分のスキルを活かしたい
まずはダイバーシティ推進室の概要から教えてください。
益子
特任研究員
特任研究員
ダイバーシティ推進室は、学生支援スタッフと共に、障がいへの理解啓発や授業支援を行う「障がいのある構成員支援」に加え、外国にルーツがある構成員、セクシュアル・マイノリティの構成員などを支援する「多様性を踏まえた構成員支援」、それから「男女共同参画」の促進を行っています。学生支援スタッフの活動に対しては謝金を支払っています。
宮崎さん
授業のない「空きコマ」を有効活用できる仕組みなので効率的ですね。何よりも実際に困っている学生がいますので、自分に何かサポートにつながるスキルがあるならば活かすべきだと思いました。“アルバイト代”をいただくことだけが目的なら、ほかにも方法はありますが、パソコンテイクひとつでもやりがいや楽しさを感じます。私は活動を始めて6年になりますが、「タイピングのスピードを速めたい」という思いや、「聴覚障がいのある学生と手話でコミュニケーションを取りたい」という思いも芽生えて、日々のモチベーションになりました。
鎌田さん
私は大学生になるまでタイピング経験がほとんどなくて、入学当初は人差し指1本で入力するレベルでしたが、ようやくブラインドタッチに挑戦するまで上達してきました。もともと興味があったのは日本語教育で、「多様性」や「多文化共生」というキーワードに惹かれ学生支援スタッフになったため、障がいのある人やセクシュアル・マイノリティに関する知識はありませんでした。それでも、「よるダイバー」などの啓発イベントや講習会に参加することで、自分の興味・関心が広がっていくことに楽しさを感じています。
他学部の学生とも交流しながら、知識や視野が広がっていく
具体的にどのような気づきや成長の実感を得られていますか?
鎌田さん
例えば、よるダイバーのトピックで扱われた内容である、黒人が白人よりも優遇される事例での「アファーマティブ・アクション(積極的格差是正措置)」などでは、“正解”のない問いに対し、課題解決のための考え方の選択肢が増え、視野も広がった実感があります。ただし一方では、多様性の阻害要因を解消する方法や、支援方法の“正解”がない難しさも改めて痛感しています。
益子
特任研究員
特任研究員
支援体制の整備を検討するにしても、マジョリティがその問題に対してすぐに当事者意識を持つことは難しいので、「よるダイバー」では、彼/彼女らに“自分ごと”として解決策を考えてもらうグループワークやディスカッションを行います。また、学生と一緒にキャンパス内を歩き、点字ブロックの有無や車いすでの移動のしやすさなどを検証する「バリアフリーチェック講習会」も実施しています。
ここで行うアクセシビリティのチェックでは、例えば、健康福祉学部や、都市環境学部で学ぶ学生ならではの改善策の発想にみんなで触れることで、学際的な視点が養われ、学生支援スタッフにとっても大きな意味のあるチェック作業となっています。
ここで行うアクセシビリティのチェックでは、例えば、健康福祉学部や、都市環境学部で学ぶ学生ならではの改善策の発想にみんなで触れることで、学際的な視点が養われ、学生支援スタッフにとっても大きな意味のあるチェック作業となっています。
宮崎さん
まさに私はダイバーシティ推進室での活動がきっかけとなり、研究では、手話の一種である“指文字“を使ったタイピングゲームを作っています。日頃の活動では他学部の学生の多様な視点に触れて勉強になりますし、マイノリティな特性を持つ当事者やその家族の生の声を聞く機会もあるので、今でも新たな気付きがあります。
多様性の理解を大学生活の充実の種に
最後に受験生をはじめ、読者へのメッセージをお願いします。
益子
特任研究員
特任研究員
私自身、学生時代に障がいのある人と交流することで多様な生き方の存在を知り、自分の良さも悪さも受け容れて気持ちが楽になる感覚を覚えました。障がい支援に携わりながら、逆に障がいのある方々に救われたんです。ですから、その活動の根幹には、単に障がいのない人による、いわゆる弱者救済のための働きかけというよりも、障がいのある人に関連した問題を通し、社会の公平性を希求することで、「みんなが生きやすくなることに繋がるんだ」という考えがあります。従って、関心のある方には肩ひじ張らず、気軽に当室に足を運んでほしいと思います。
宮崎さん
思い返せば、ある大学の入試で得点が操作され、女子だけが不当に不合格になった事件を知ったとき、「女性」というだけで理不尽な扱いを受けることに“怒り”を感じました。障がいにしても同様に、自分がいつ当事者になるかわかりません。社会にはどんな理不尽が存在するのか、その理不尽に対してどういう対処が必要なのか、ダイバーシティ推進室で学び、一緒に考えてくださると嬉しいです。
鎌田さん
私は現在、在日外国人を対象とする日本語教育への挑戦意欲が高まっているほか、「よるダイバー」で扱ったセクシュアル・マイノリティに関する本を読んで興味が増大しています。ダイバーシティ推進室には大学生活を充実させる種が豊富にありますので、まずはイベントでもガイダンスでも参加してほしいですね。
ダイバーシティ推進室
https://www.comp.tmu.ac.jp/diversity/index.html
誰もが自分らしく、多様な個性を活かして過ごせる環境づくり
2011年9月に開設したダイバーシティ推進室は、南大沢キャンパスの図書館本館1階にあります。大学の多様な構成員に対する支援活動、講演会・講習会等の啓発イベントの実施、個別の相談対応など、活動内容は幅広く充実しています。学生支援スタッフには、様々な学部学科や学年の学生が登録しており、日々協力しながら障がいのある学生に対する支援活動やイベント運営などで活躍しています。