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2021.10.15
授業潜入レポート Vol.2

都市環境学部 専門教育科目 “観光科学プロジェクト演習Ⅱ”

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大学での授業スタイルは高校までとは大きく違いますが、実際にイメージするのは難しいかもしれません。そこで今回は、都市環境学部観光科学科のPBL形式科目「観光科学プロジェクト演習Ⅱ」に潜入。担当教員の岡村先生と川原先生、同学科3年生の宮本さんに、授業内容や魅力を聞きました。

キービジュアル
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柔軟な思考と粘り強さで、地域課題の解決策を紡ぎ出す

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都市環境学部 岡村 祐 准教授

東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程修了、博士(工学)。専門は、都市計画、都市デザイン、観光まちづくり、観光地域史。

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都市環境学部 川原 晋 教授

早稲田大学大学院理工学研究科建設工学専攻博士後期課程修了、博士(工学)。専門は、観光まちづくり、観光地経営、都市・地域デザイン。

Q.学生が取り組む課題や目的から教えてください。

岡村:都立大のある南大沢駅前のアウトレットモール等を訪れる買い物客をターゲットとして、南大沢エリアの地域資源を活かした観光プログラムづくりに挑戦します。
川原:まずは地域の魅力や課題を見つけるために、フィールド調査や事業者や住民へのヒアリング、データ収集を行います。大切なのは、「地域のため」という視点。具体的なプログラムを考える際には、それが地域社会にどのように貢献するのかを説明できるようになることを目指します。
岡村:観光商品の企画というよりも、南大沢での暮らしや空間も含めた地域の将来像を考える授業です。それを具現化するための魅力的な場所づくりと、そこでのアクティビティを考えます。
川原:日常生活から離れた場所でのレクリエーションが観光だと考えがちですが、近年は日常生活圏でのマイクロツーリズムや、オンラインツアーなどの仮想観光まで登場しています。観光とは何かを考え、どのような観光体験を提供するのかというコンセプトづくりが大事な柱になります。

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年度ごとに演習成果である学生提案をまとめた冊子

Q.授業はどのように進められていくのでしょうか。

岡村:学生はグループワークの成果を毎週発表し、教員は改善すべきポイントなどをアドバイスしたり、参考になる事例を提示していくスタンスです。“正解”はありません。
川原:重要なのは、学生同士で主体的に考え、内容をブラッシュアップしていくことです。教員が何かを指摘したら、別の教員があえて正反対の立場から学生に問題提起するケースもあります。さまざまな立場から意見が発せられることは、実社会では日常茶飯事。その上でどんな切り口で課題に向き合うのか、その判断の根拠も明確にしながら提案内容をブラッシュアップしていくことを求めています。

Q.学生はどのような力が身につくのでしょうか。

川原:教員からは、ときに厳しい批評もしますが、それを受け止めて改善策を考えていける、打たれ強さが身につきますね。“失敗体験”を糧にして企画力が磨かれていくんです。また、教員からの質問に的確に答える瞬発力など、議論のスキルも向上していく印象です。
岡村:最後まで粘り強くやり抜く力も身につきますね。参考事例の調査・分析も重視しており、その中から応用できるポイントを抽出する力も養われていくと思います。
川原:社会で何か新しいことを始めるには、まずは自分で調べることが肝心ですからね。また、京王電鉄や、駅前のアウトレットを運営する三井不動産、八王子市、東京都などへのプレゼンテーションも例年行っており、実際のプロジェクトとして動き出す可能性もあります。発表する相手に合わせて説明を変える工夫も必要。相手のニーズに対して自分たちの引き出しから何をどう提示していくべきかを学べますので、学外で発表する機会は大切にしています。
岡村:発表会に参加して下さる企業や行政の方々は、学生のアイデアの中に実現可能で効果が見込める企画がないか、真剣に聞いてくれます。それが学生のモチベーションにもなりますので、来年度以降もどんな提案が出てくるのか楽しみですね。

受講した学生にお話を伺いました

宮本 美咲さん(都市環境学部 観光科学科 3年)
宮本 美咲さん

学生が主体的に学びを深めていくPBL形式の授業。受講した学生はどのように取り組んだのでしょうか。3年生の宮本さんがその様子をお話ししてくれました。

Q.宮本さんのグループの企画内容を教えてください。

宮本:「地域をつなぐ」をコンセプトに、農業振興や食育の推進に向けた企画を考えました。アイデア豊富な学生や、データ収集が得意な学生など、メンバー全員で議論を重ね、人々の交流拠点としての野菜直売所の活用や、食育拠点となる「寺子屋」の設置などを考案しました。

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Q.グループワークや発表では、どんな点を意識しましたか。

宮本:「これがしたい」と感情的に訴えるだけではなく、有効性を裏付けるデータの提示や、実現に向けたアプローチ先の選定といった具体性には気を配りました。また、周囲の意見を聞き、必要なら取り入れるよう、柔軟性を持って取り組みました。

Q.この授業では何が原動力となり、どんな力が身につきましたか。

宮本:広い視野でとことん考え抜く力が養われました。その過程では、チーム内で課題解決の糸口が見つかって盛り上がる瞬間や、先生にほめられて喜べる瞬間もあります。仲間と感動や達成感を共有でき、それが大きなモチベーションになりました。

取材を終えて(2021年7月15日の講義に潜入!)

学生と教員が本気で向き合う授業

取材を終えて
課題設定時の着眼点や収益モデルの構想力、個別プログラムの発想力など、都立大生の授業に対する真摯な姿勢がストレートに伝わってくる授業でした。一方で、もちろん教員陣も本気モード。学生の考察が足りていなければ鋭く厳しい指摘をします。ただ、それは単なる批評ではなく、学生に新たな気づきを与え、奮起を促す仕掛け。教員の想いと学生の成長が相互に作用する、魅力的なPBL型授業だと感じました。
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